2018/10/19
さ・し・す・せ・そ
SATOKOのオーガニックな「食」のつぶやき Vol.003
「さ・し・す・せ・そ」は「砂糖・醤油・酢・塩・味噌」のこと。料理に欠かせない基本の調味料で、味の決め手となります。日本の調味料は本来、発酵の働きで作られているものが多いのですが、現代ではその工程が簡略化されているものも多く、正しい製法で造られたホンモノの調味料が少なくなっているのが現状です。
商品裏の原材料のラベルを見ると、よくわからないカタカナが。それに酸味料、甘味料、着色料、保存料、安定剤、乳化剤……。多くの調味料には添加物が入っています。野菜や食材にこだわっていても、このような調味料を使って料理をすると、すべての料理に添加物が入ってしまうことになります。日本で使用されている添加物は約1500種。海外では使用が禁止されているものも多々あり、添加物大国と言われています。添加物をすべて避けることは難しいですが、正しい知識を持ち、選択できる力を持つことが必要だと感じます。ではどのような調味料が良いのか? 一つひとつ見ていきましょう。
「砂糖」は三大栄養素の中の炭水化物(糖質)の1つです。体の生命維持エネルギーで、脳や神経伝達のエネルギー源にもなります。糖尿病などの病気の増大により、砂糖を悪のように思っている方も多いように思いますが、日本の砂糖需要動向は1975年は1人あたり25.6kg、2016年は15.6kgと年々減っているのです。そこで気を付けなければならないのは、実は合成甘味料なのではないでしょうか? 合成甘味料には、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、またブドウ糖果糖液糖などが挙げられます。カロリーゼロの商品やさまざまな清涼飲料水に含まれています。これらの合成甘味料は、砂糖の130~600倍の甘さがあり、コストの安さと便利さで多用されていますが、血糖値を急激に上げるので、糖尿病やがんの原因の1つになっていると言われています。カフェのテーブルに合成甘味料が置かれていると本当にがっかりします。やはり天然の甘味料が1番です。白砂糖は精製されているため、ビタミン、ミネラルが含まれていません。純粋な甘味なので、扱いやすく、味も決めやすいのですが、体のことを考えると栄養素豊富な黒糖やキビ砂糖を使用したいもの。黒糖は味が独特なので、一般的に使用する場合はキビ砂糖がオススメです。
「塩」は調味料の中で美味しさを決める一番のポイントとなる調味料です。そして人間の生命活動の維持に欠かせないもの。自然な塩が良いと言われていますが、どうやって見分けるのか? 塩は、岩塩、海塩、湖塩、藻塩など種類もさまざまです。海に囲まれた日本、日本人に馴染みが深いのは海塩ですね。海塩を選ぶ際には、商品に記載されている「工程」をチェックするとよいでしょう。工程にはイオン膜、溶解、逆浸透膜、浸漬、天日があります。工業的(イオン膜)に作られた精製塩は塩化ナトリウムの濃度が高く、ミネラルがほとんど含まれていないので体にとても負担がかかります。太陽または風力の自然エネルギーを利用して、水分を蒸発させて塩を作る「天日」の塩が一番自然に近く、マグネシウム、カリウム、カルシウムなどのミネラル分も豊富でオススメです。
「酢」はお酒が酢酸発酵したものです。日本酒は米酢に、ワインはワインビネガーに、アップルタイザーはリンゴ酢に、醸造アルコールは穀物酢になります。選び方としては、米酢の場合は「純」がついているもの。また原材料が米だけのもの、製法が静置発酵のものかどうかを確かめることです。もちろんアミノ酸などの添加物が入っていないものを選びましょう。
「醤油」は日本が誇る伝統的な発酵調味料です。ですが近年では近代化や大量生産により、昔ながらの製法で造られていないものが多くなっています。正しい製法で造られた醤油には幾種類もの優良な微生物・麹菌がいて、生理活性物質という私たちの生命維持に欠かせない物質を作ってくれます。選び方のポイントは、まず名称の横に「本醸造」と書かれているもの、原材料が大豆・小麦・塩のみのもの、脱脂加工大豆ではなく丸大豆を使用していること。それから容器が瓶であることも重要です。
最後は「味噌」です。味噌も醤油とともに今、世界が注目している発酵調味料です。昔から「味噌は医者いらず」という言い伝えがあるように、栄養学や医学の面でも注目の食品です。味噌には米、麦、豆がありますが、それ以外の原材料が大豆と塩のみのものを選びましょう。日本の大豆の約90%は外国産なので、国産の大豆であることも気を付けたい点です。また加熱処理をしていない「生」と記載されているもの、「天然醸造」「無添加」の記載も注意して見ていきましょう。私は米、麦、豆の3種類の味噌をその日の気温や体調に合わせてブレンドし、オリジナルの合わせ味噌にして使っています。だし入り味噌はもってのほか! 安さと便利さに惹かれてはいけません。
良質な調味料を使用することで、日々の食生活が質の高いものに変わります。また私たち一人ひとりが昔ながらの正しい製法で造られたホンモノの調味料を使うことが、日本の食文化の継承につながるのではないでしょうか。
- SATOKO
『安心安全な食をスタンダードに』をモットーに、食育プロデューサーとしてイベントや講演会を多数企画。SOLAアカデミー主宰。「衣食住と心」を整えることで、心身ともに健康でより豊かな人生を楽しむことをコンセプトにした学びの場「COME TO LIFE」を開講。食と栄養と健康のセミナー講師。ナチュラルフードプロデュースも手掛ける。また未来の子供たちの健康と地球環境を守るための活動も行っている。