ホテル　イースト21東京

TOKYO HOTELS & RESTAURANTS
INTO THE FUTURE

1992年創業。東京の江東区・東陽の地で、地元の人びとにとってなくてはならない存在になった。新年会、忘年会のみにとどまらず、年に幾度も利用する団体も多い。幼稚園から高校までの謝恩会としても、欠かせない場所である。お台場や舞浜などの観光スポットから日本橋・大手町エリアといった東京の大動脈にもアクセスが良いため宿泊客からも高い評価を得る。
オークラ ホテルズ&リゾーツグループの洗練されたホスピタリティもしっかりと息づいている。2000名を超える宴会を年に何度も受け入れる諏訪健総料理長に、ホテルの強みを聞く。
　

周辺企業や、深川の祭に関わる団体などのさまざまな集いを、長年にわたって受け入れてきたホテル イースト21東京。「みなさん随分長く使ってくれていますので、飽きられないように、毎回料理を変える必要がある。過去10年ほどのメニューの履歴を確認することもあります」と諏訪健総料理長は話す。素材や調理法を都度見直し、工夫を凝らす。ベジタリアンやハラル、アレルギーへの要望も以前より格段に増えた。「パーティで20品用意する場合は、数品を野菜のみにするといった対応をしています。完全ハラルは設備の関係上難しいのですが、できる限りは応えていきたい」。
多目的ホール「イースト21ホール」はビジネス使用にも人気の会場。例えば大ホールで会議が行われている間にスライディングウォールで仕切られた小ホールに料理を並べて待機。「会議が終わるとお客さまがいっせいに入ってこられる。その瞬間はいいものですよ」。
地元の人びとは、日常使いの場所としても訪れる。オールデイダイニング「ブラスリー ハーモニー」、中国料理「桃園」、日本料理「さざんか・寿司」、鉄板焼「木場」の各レストランやロビーラウンジ、ベーカリーショップ「アン」などは、いつもおだやかな喧騒に満ちている。料理は監修するものの「基本的に各料理長に任せています」。

都内最大級2000平米の広さを持つ屋上の「ガーデンプール」も自慢だ。2つのプールをはじめ温水ジェットバスや採暖室、ガーデンカフェまで完備（ガーデンプール・ガーデンカフェは夏期季節営業）。宿泊客だけでなく一般客も利用可能で、夏の間はアーバンリゾートを楽しむ人びとで賑わう。

以前は50名以上いたという洋食のスタッフは、現在30名ほど。「働く時間が決まっている分、人が必要になってきますが、一人ひとりが力をつけていけば、10人が8人ですむことになる」。一方、就業後に残って勉強するということが難しくなった昨今、若い世代が習いたいことを学べないのではと危惧する。そんな状況で大切なのは「とにかく頭を使うこと」だと言う。「能力を向上させるための方法を、真剣に考えて欲しいと思っています」。そして改善点に気づいたら、細かいことでも先輩がその場ですぐにアドバイスしていくことが必要だと続ける。

祖父は洋菓子職人、父はホテルのシェフだったという諏訪総料理長は、幼いころから料理が身近にあって「料理人になるのは自然な流れでした」と振り返る。小学生のころ、父親の友人のシェフたちが遊びに来て料理を作っているのを鮮明に覚えているそう。「料理は今でも好きです」。メニューを考えるときの秘訣を尋ねると「素材を見ながら頭の中でじっくり考える。そうするとアイデアが浮かんでくる。今まで見てきたものや経験からでしょうか」。
セクションごとに「衛生」「時間のムダ」といったテーマを決めて、何をするべきかを考えるサークル活動も実施。「誰もが一生懸命やっているのは分かります。ただ言われてやるのではなく、自分から何かを見つけ、自分で考えて動いていくことで、確実に実力がついていくことを忘れないで欲しい」。他が良く見えることもある。しかし今の場所で手の届くところをまずは目標にし、オードブル、スープ、ブッチャーと、段階を踏みながら一段ずつ丁寧に階段を登っていって欲しいと、次世代にメッセージを送る。