2011/6/10

Vol.25
飯島 淳 Atsushi Iijima
「アルガンオイルでマリネしたフォワ・グラと海老芋のプレッセ マテ茶と昆布のコンソメジュレ添え」 

調布クレストンホテル 総料理長 

Pressé de Foie grais  et  taro de Kyoto  aux  truffes  parfumé huile d'argan                                                                                                                                                                       avec gelée de consommé maté et algue fraîche
Pressé de Foie grais et taro de Kyoto aux truffes parfumé huile d'argan avec gelée de consommé maté et algue fraîche

【用意するもの】
1.2Lテリーヌ型使用(30人分)


Preparation=海老芋

材料 分量
海老芋 歩留 70% 800g
<下ゆで用>  
米のとぎ汁 適量
<海老芋炊き用だし汁>  
一番だし(鰹と昆布) 800cc
薄口しょうゆ 30cc
味醂 120cc
日本酒 280cc
トレハロース 30g
4g

1.海老芋は米のとぎ汁で下ゆでしてから水にさらし、あく抜きをする。(7分程度の火入れで良い)
2.更に出汁(薄口、日本酒、砂糖、味醂 トレハロース入り)で炊き、冷まして一晩置く。
3.水気を切りペーパーで水分をふき取る。テリーヌ型に合わせて1.5cm~2cm位の厚さの板状になるようラップで包みながら整形する。
海老芋は無理に整形すると繊維が壊れるので、厚さのある所はカットして調整する。
4.トレハロースをふっておく。


Preparation=フォワグラのマリネをつくる

材料 分量
フォワグラ  歩留 90% 800g
<基本マリネ>  
白ポルト酒  3% 24cc
塩  1.2% 9.6g
胡椒 2.5% 20g
砂糖 2% 16g
トレハロース  3% 24g
アルガンオイル 10cc

1.フォワグラは氷水につけながらデゴルジェ、デネルベ、下処理をする。
2.フォワグラをマリネ液でマリネして真空し、一晩置く。
3.海老芋と同様にテリーヌ型に合わせて整形する。

Preparation=詰める
1.テリーヌ型にクッキングシートを貼り付ける。
2.フォワグラ、海老芋、フォワグラの順で詰める。一晩置く。

Cuire=火入れ
1.56度、芯温52度で調整
 オーブン、スチコン、クックチル、ヴァプールなどにて火を通す。
2.火が通れば重石をして冷ます。
3.冷蔵庫で一晩置く。

Faire geleé=和風ジュレを作る

材料 分量
ミネラルウォーター 500cc
マテ茶(グリーン) 3g
日高昆布 50g
カツオ削り節 50g
みりん 80cc
コンソメ 500cc
生のり 15g
甘露醤油 10cc
ゼラチン(もどしておく) 30g
塩 胡椒 適量

1.ミネラルウォーターを火にかけて沸騰したらマテ茶を入れて3分蒸らす。
2.鍋にパッセしてそのまま冷ましておく。マテ茶の温度が80度になったら、日高昆布を入れてそのまま冷ます。
3.冷めたら再び鍋を火にかけて、みりんとカツオの削り節を加えて沸騰直前で火を止める。
4.コンソメともどしたゼラチンを加えて解かしてパッセする。
5.生のりと甘露醤油、アセゾネをして味を整える。
6.氷水で冷ましてジュレとする。生のりが下に沈むので途中メランジェしながらジュレにしていく。
7.フルシェットなどでジュレを細かくする。

finition=仕上げ
1.フォワグラは1.5cmにカットして更に四等分にして正方形にカットする。
2.マーブル状にカットされたフォワグラと海老芋にアルガンオイルを刷毛でナッペする。
3.ひとつにトリュフのアッセをまぶしてもう片方にはスライスしたトリュフを乗せる。

Dressage=盛り付け

1.アシエットに2種のプレッセを盛り付けてマテ茶と生のりのジュレを添える。デイルなど香草を飾る。

Point et Arrangement=ポイントとアレンジ
1.季節によりフルーツのコンポートやドライフルーツなどを添えてもよい。
2.甘露醤油などは濃口醤油で代用可。
3.ジュレは通常のコンソメジュレでも良い。
4.マテ茶と昆布の和風ジュレは魚介のマリネや炙りなどにも良く合う。今回はフォワグラと海老芋のプレッセの単独メニューであるが、本来は帆立貝と車海老など魚介と合わせ、フルーツコンポートと一緒にマリアージュしても良い。
5.パネしてコロッケやベーニエでもおいしい逸品になる。

飲むサラダ「マテ茶」
 鉄分、ミネラル、カルシウムの宝庫である南米産のマテ茶は、『飲むサラダ』と言われ、「疲れをとる」「滋養強壮」「集中力を高める」などの効果があげられる。
 また食欲を押さえる効果があり、ダイエット効果が期待できる。利尿作用にも優れ、体内の洗浄作用が促進される。
 南米は肉食中心で一人当たり年間70kgも消費し、日本人の7倍も消費しているが、成人病や肥満に悩む人が少ないのは、マテ茶を飲んでいるからと言われている。

美や健康に役立つ「アルガンオイル」
 アルガンオイルは、モロッコのみに生育するアルガンの樹の実から採油された希少価値の高いオイル。「モロッコの黄金」と呼ばれ、料理に使って体内に摂取したり、身体に塗ったりと、美や健康に役立てられている。

【情報】
飯島シェフが所属する城西支部では、9月7日(水)に調布クレストンホテルで「アルガンオイル講習会」を計画しています。

〔料理人として大事にしていること〕
「ホスピタリティ」「至誠一貫」「切磋琢磨」「毎日の小さな努力」「挑戦」

 私が料理人になった時、上司は部下に追い抜かれないように、権力で押さえつけた時代もありました。料理は好きでしたが、ふと心が折れそうになった時、お客さまと会話し、笑顔を見る機会があり、自分の仕事の意義を再認識できたことで、救われました。
 料理長になった時、部下に「自分が若かった時は朝3時に厨房に入り仕込みを始めた。だからお前もやれ」と自分の経験を押し付けた時期もありました。でも気がつくと部下や周りの人は自分から遠くを歩き離れていく、一人では何も出来ない。人は大切だ!と気付きました。
 料理に完璧はあり得ませんが、完璧を目指して常に最善を尽くす気持ちが、仕事の質を高めることになり、自然と心で表現できるようになります。
 さらに、料理人は料理を作るだけではなく、人間性を磨くことが大事です。部下や同僚、上司、他の部署の人からも尊敬される料理人になれば、それが自分を大きく変える一歩になるはずです。
 特にホテルは、全ての部署とのコミュニケーションとチームワークが必要です。仲間同士、全てはお客さまのため、仕事が楽しくなる職場を作るためには、人の短所をあげつらわず、自分の長所を自慢せず、お互いの良い所を誉め合うこと。お客さま、従業員、その家族が幸せになることが最終的には一番大事だと思います。
 料理長としては、職場環境と労務管理をきちんと整理し、部下を信頼して現場を任せるようにしています。そうすると、部下から自然と料理のアイデアが出て来ます。私がいなくても自然に厨房が回り、さらに料理長として数字がコントロールできていれば最高の成果を出せたと言えます。
 我々は無名な料理人でも、お客さまに愛され、経営者として一流になれば決して有名な料理人には負けない一流の料理人であると思う。最後にお客さまと会社も社員も家族も皆、幸せになれれば、それが私としての料理長としての役割であり、一番大事なことだと思います。

【プロフィール】

1965年  埼玉県に生まれる
  大阪・あべの辻調理師専門学校 卒業
  フランス・リヨン にて研修 ヨーロッパ10ヶ国をまわる
1986年 六本木「ビストロ・ロティユース」を皮切りに、都内のフランス料理店とホテルで修行開始
1991年  新日鉄(株)関連のホテルへ入社 料理長としてスポーツ関連に従事 
1992年 バルセロナオリンピック強化選手の料理を担当 
1996年 アトランタオリンピック強化選手の料理を担当
2000年 シドニーオリンピック強化選手の料理を担当
2001年 クレストンホテル 料理長に就任
2009年 ホテルマネージメントインターナショナル(株)調布クレストンホテル 料理長 現在に至る
  SOPEXA フランス料理コンクール全国大会出場 
  日経レストランメニューグランプリ 他 入賞

【所属】
エスコフィエ協会正会員 全日本司厨士協会会員  
アルガンオイル協会会員
【資格】
厚生労働大臣認定 専門調理師 調理技能士 取得
【活動】
 OB、OGが組織する辻調コンピトゥム、学校の食育活動、医療関係などの分野において食関連の活動を行なう。
 ホテルとしては、地域社会貢献活動として毎年「100円カレー」を実施。社会福祉協議会へ売上を寄付し、地域福祉の向上に努める。
 身体が不自由な方々を食事に招待したり、老人ホームなどで夫婦を招待し、挙式を開催、花火大会招待など積極的に活動する。
 料理教室(58回開催)や知食 スローフード、マクロビオテック、アンチェイジングなど健康志向の料理にも取り組む。

【調布クレストンホテルについて】
 現在レストラン営業はしていないが、地域密着型ホテルとして、婚礼と宴会が中心。お祝いから法事、顧客は官公庁や企業、病院や製薬会社、学校、施設と幅広い。客層は子供から年配者まで様々。スタイルはフルコースから会席フランス料理、卓盛、立食ブッフェ、着席ブッフェと幅広い。

調布PARCOの8階から10階に位置する調布クレストンホテル
調布PARCOの8階から10階に位置する調布クレストンホテル
明るい日差しが入るウエディング会場
明るい日差しが入るウエディング会場
シックで大人っぽい雰囲気も好まれる
シックで大人っぽい雰囲気も好まれる

調布クレストンホテル
〒182-0026
東京都調布市小島町1-38-1 調布PARCO 8~10階
TEL042-489-5000
http://www.crestonhotel.co.jp/chofu/

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