2017/4/17
Vol.56
吉本 憲司kenji yoshimoto
石黒農場ホロホロ鶏のテリーヌ “東北復興
支援” 仙台郷土料理せり鍋をイメージして
Terrine de pintade à ferme d'Ishiguro avec l'image de Sendai
ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ
レインボーブリッジビューダイニング&シャンパンバー マンハッタン
- 石黒農場ホロホロ鶏のテリーヌ “東北復興支援”
仙台郷土料理せり鍋をイメージして
【作り方】
材 料 | 数 量 |
---|---|
ホロホロ鶏 | 1羽 |
セリ根 | 2束 |
曲がりねぎ | 3本 |
ウド | 0.3本 |
モロッコインゲン | 6本 |
黒キャベツ葉 | 6枚 |
赤パプリカ | 0.3個 |
ヴィネグレット | |
からし菜 | |
アマランサス | |
ケッパーベリー |
【調理の要点・ポイント】
レストランで提供していますファーストディッシュの1つで、“旬の素材の宝石箱”と銘打ち、その季節にしかない厳選した旬の食材からインスピレーションし仕上げています。この料理は、東日本大震災が起こり、東日本復興支援として作りました一皿でございます。3月から4月位の初春の時期、東北を中心に東日本の食材を使用し、宮城・仙台の郷土料理「せり鍋」からインスピレーションしました。各々を適した処理、調理を行い、テリーヌ型に旨味を閉じ込めます。テリーヌの長所は閉じ込める事で出来上がる調和です。そして寝かす事で味も馴染んでいきます。フランス料理の古典を大事にしながらも、固定概念にとらわれなく、自由な発想で個性ある一皿に仕上げる事を意識しております。それでは作り方です。
1.ホロホロ鶏の胸はコッフルにし低温でロースト、ロゼにキュイします。腿肉、手羽にはグロ・セル(岩塩)、ニンニク、ローズマリー、グレスドワでコンフィーしほぐす。
2.ホロホロ鶏から出た、骨等全てを使用し、香味野菜とでジュを取る。(これが全てのつなぎとなる)
3.セリ根、モロッコインゲン、黒キャベツは2.のジュで火を入れる。
4.曲がりねぎは丸のままローストし、ジュで火を入れる。
5.コンフィーした脂で、ウドもコンフィーする。
6.テリーヌ型に詰めていく。まずは黒キャベツをテリーヌ型に貼り付け、あとは切った断面をイメージしながら仕上げていきます。どんな模様になっても良いと思います。アートを描いて詰めていきます。
7.付け合せ、ソースです。茨城水戸産のパプリカのソルベ、春菊のソース、ヴィネグレットのスフェール、サフランのソースとアクセントにケッパーベリーを添えました。テリーヌ自体は、冷やしすぎない温度で提供します。
【後進へのメッセージ】
普段、大凡のルセットは作りますが、基本的にルセットは信用しないようにしています。例えば、魚を何度で何分で火を入れる、野菜を塩水で何分ボイルする。この方法は失敗に繋がりますし、美味しくなるとは思えません。例えば、夏のトマトと冬のトマトは同じ物ではありません。また、大量生産で作られる野菜と製法にこだわった野菜も様々な違いがあります。大事なのは素材を探し、出会う事、それと素材を理解する事が凄く重要だと思います。何と組合せ、どう食べさせるかで調理法は変っていきます。季節の移り変わりでも微妙に変化しています。その変化に気付く事、そこから適した処理をし調理法を変えていく事を日々心がけてやっております。しかし、私自身、本当にまだまだ出来ておらず模索していますが、一つずつできるよう努力を重ねることによって、自分の血となり肉となっていくと信じています。
そして私の一つの目標(願い)が、文化は異なりますが、日本でもフランスのシェフの様に料理人という職業が、医者や弁護士と肩を並べられる職業(極端ですが)になり、それに付随してお金が稼げる職業になってくれる事を切に願っています。またそう願うことで、少しでも今後の日本の食文化の発展に繋がっていければと思います。そして日本だけではありませんが、飲食業、ホテル、レストランが、縮小や削減などで、学べない環境があたりまえになっています。自分の為にも、将来の為にも、学べる環境を出来るだけ作り、人材育成を積極的に行っていきたいと思います。
- 吉本 憲司
【プロフィール】
2001年 ホテルインターコンチネンタル東京ベイ入社。
2003年 ファインダイニング ラ・プロヴァンスにてフランス
料理の基礎を学ぶ。
2008年 第4回エスコフィエ・フランス料理コンクールにて国
内最年少で優勝。
2009年 スイス・ジュネーブで開催されたエスコフィエ料理コ
ンクール国際大会で入賞。
2011年 南仏ニースのミシュラン一つ星レストラン「KEISUKE
MATSUSHIMA」、および南仏マントンのミシュラン二
つ星レストラン「Mirazur」にて修行。
2014年 レインボーブリッジビューダイニング&シャンパン
バー マンハッタンの料理長に就任。
2016年 第50回ル・テタンジェ国際料理賞コンクール・ジャ
ポン2016で優勝。
第50回ル・テタンジェ国際料理賞コンクール・イン
ターナショナル(パリ)で第3位。
【勤務先の案内】
世界の60の国や地域に広がるインターコンチネンタル ホテルズ&リゾーツに属する東京都内初のインターコンチネンタルホテルとして、1995年に開業し本年9月1日で22年を迎えます。
2011年に宴会場の改装を開始、2013年にはフロントレセプション、ラウンジ、レストラン、客室を含む全面的なリニューアルを完了しました。ラグジュアリーを極めた施設空間と、永年にわたり培ってきた国際水準のサービスでおもてなしいたします。
寛ぎを追求した客室は、東京ベイを臨む都内屈指のアーバン・リゾートとして、壮大なフォルムの「レインボーブリッジ」、新名所として存在感を放つ「東京スカイツリー」、夜のライトアップが幻想的な「東京タワー」、隅田川・勝鬨橋・浜離宮を眼下に望む「リバービュー」の4つのビューからセレクトできる非日常的な空間をご用意しています。
シェフが目の前で調理する、オールデイダイニング「シェフズ ライブ キッチン」をはじめ、ニューヨークスタイルの新感覚イタリアン、伝統的な南フランス料理を現代風にアレンジしたヘルシーフレンチ、伝統の技術と現代の感覚が融合した日本料理など、世界の味覚を網羅した8つのレストラン&ラウンジを用意しており、レインボーブリッジや東京タワービューの夜景を望むナイトバーも併設し、お客様のご利用目的、シチュエーションにあわせてお選びいただけます。
また、東京ベイを望む13の大小様々な宴会場、リラクゼーションサロン、フィットネスジムなどを備え、都心部のビジネスエリアや銀座などのショッピングゾーン、羽田空港へ好アクセスの立地にあります。
- マンハッタン内観
- ホテル外観
ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ
http://www.interconti-tokyo.com/
2017/04/17更新