2010/7/11

Vol.18
小川次郎 Jiro Ogawa
小ひらめのスフレ レニエール風、コモドール風の付け合わせ

シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル 
料飲部 調理 宴会ホットセクション ス―シェフ

Turbotin soufflé Reynière Garniture à la commodore
Turbotin soufflé Reynière Garniture à la commodore

料理写真提供:(有)料理文化社

【料理について】 
 この料理は、2006年に開催された第3回エスコフィエ・フランス料理コンクール(日本)で優勝し、日本代表で出場した「Trophée International des Disciples d'Auguste Escoffier」の課題料理として作り、優勝した際の料理です。
 「Turbotin soufflé Reynière」(小ひらめのスフレ レニエール風)について、エスコフィエ著の『Le Guide Culinaire(ル・ギード・キュリネール)』にあるルセットには、おおよそ以下のように書かれています。
 「下ごしらえし、中骨から開いた小ひらめにメルラン(タラの一種)を用いたファルスをたっぷりと詰める。蓋をして水分がほぼなくなるまで弱火でポシェし、盛り皿に盛る。ポシェした白子とトルネシャンピニオンで魚の上面を飾る。白ワインソースとスービーズソース及び魚をポシェした煮汁でソースを作り、添える」
 この料理は、デクパージュサービスをお客さまの目の前で手際良くさばくことを目的として考えられた料理とも言われているそうです。味や食感はもちろんのこと、仕上がった時のスフレの仕方、見た目が綺麗であることも、この料理には重要だと思います。
 フランス大会では白子の代わりにSaint-Jacquesが用意されました。その他用意された食材の中から使用した食材は以下の通りです。

【小ひらめのスフレ】

材料 分量
Turbotin(2.5kg) 1ea
Filet de Merlans 250g
Blanc d'oeuf 3ea
Panard à la Farine 120g
Crème 200~250cc
Jus de Citron un peu
Sel et Poivre un peu

1.小ひらめはよく洗い、ウロコを取る。内臓とヒレを取り除く。
2.白皮の中央に10cmの大きさで切り込みを入れ、そこから中骨をすべて取り除く。
3.裏返し、黒皮を丁寧に剥ぐ。
4.水分をよく拭き取り、塩、コショウ、レモン汁を振る。
5.タラの身、卵白、パナード、クリームでファルスを作り、小ひらめに振る。
6.ミルポア野菜、魚の骨、白ワイン、水を火入れ用の器具に入れ、その上に水分に浸らないように、ファルスした小ひらめをのせ、蓋をして130~140度のオーブンで約50~60分、ポシェする。この時、温度が上がりすぎるとスフレがパンクして割れてしまうので、こまめに温度調節をする。
7.火が入ったら保温する。

【ガロニチュール】

材料 分量
Fillet d'Anchois 8ea
Noix de Saint-Jacques 8ea
Champignons 8ea

1.アンショワのヒレは軽く水洗いし、強い塩分を落とし、渦巻状にしておく。
2.ホタテはポアレする。
3.シャンピニオンはトルネに飾り切りし、バター、塩を加えた湯で火入れする。

【ソース】

材料 分量
Oignons 2ea(coukis d'oignon用)
Oignons 1ea
Carotte 1ea
Céleri 1ea
Échalote 3ea
Carcasse de Sole 1kg
Carcasse de Turbotin 下処理した際に出たもの
Vin Blanc 500cc
Eau 1.5?
Crème 1?
Jaune d'oeuf 2~3ea
Beurre un pea
Sel et Poivre un pea

1.タマネギ2個は、アルミホイルで包み、オーブンで火入れをし、甘みのあるクーリーを作っておく。
2.小ひらめをポシェした際にできたキュイソンを煮詰めてクリームを加え、さらに詰め、仕上げに1のタマネギのクーリーとバターを加える。
3.ソースの濃度は卵黄でつけることでソースの濃度がさらに増す。
4.プラッターに小ひらめを盛り付け、ガルニチュールを飾り、別にソースを供する。

【ポイント】
 この料理のポイントはスフレです。つまり綺麗に膨らまなくてはいけません。小ひらめの中にスフレするタラのムースをどのような状態にするか、小ひらめの中骨をどのように取り除くかがポイントです。小ひらめの白い皮の中央部に必要最低限の切り込みを入れて、袋状になるように中の骨をすべて取り除く技術を習得するのには苦労しました。さらに火入れの温度にも注意しなくてはなりません。小ひらめの身に火が入る時間、ファルスに火が入る時間が一致しないと綺麗にスフレした状態になりません。
 魚がキュイソンに浸らないような器具に魚の骨、ミルポア、水を張って、その上にファルスした小ひらめをのせてポシェするのですが、その水分量も大きなポイントです。

【若い人へのメッセージ】
 私がこの大会に出場した時は31歳、現在35歳でまだまだこれから勉強しなければならないのですが、料理人として働き始めた若い人たちに伝えたいことをお話します。
 今はいろいろと新しいスタイルの料理が溢れています。食材の組み合わせ、味の組み合わせ、盛り付けなど。それらを自らの知識、技術として習得することは必要なことだと思います。しかし、今ある料理にはベースとなった古典料理が必ず存在します。その基本となる古典料理を勉強し、理解した上で、これからの料理を作ってもらいたいです。基本があった上での応用です。基本がない上での新しい料理はただのアドリブ料理です。
 今、自分たちが作っている料理は何を原型としたものなのか、その基となった料理はどのようなもの、味なのか。それらを理解した上で、これからの新しい料理を作り、また後輩に伝えていってほしいと思います。

【プロフィール】
1974年生まれ(35歳)
千葉県船橋市出身
1994年3月 華調理師専門学校 調理本科卒業
1994年4月 シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル入社
宴会調理ホットセクション、メインダイニング「ザ・サミット」、レストラン「オリエントフュージョン」に配属
2007年2月 メインダイニング「ザ・サミット」勤務
2007年7月 ス―シェフ
2008年6月 宴会ホットセクション ス―シェフ

【所属団体】
(社)日本エスコフィエ協会
(社)東京都司厨士協会
【受賞歴】

2006年8月 第3回エスコフィエ・フランス料理コンクール(日本)優勝
2006年10月 国際決勝大会「Trophée International des Disciples d'Auguste Escoffier」優勝

【シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルについて】
 シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルは、東京ディズニ―リゾート®のオフィシャルホテルです。
 碧くきらめく東京湾と東京ディズニ―リゾートが眼下に広がる802ものゲストルーム。オープンキッチンからの世界の出来立ての味わいを届けるレストラン。人々が集うロビーには、ゆったりとしたロッキングチェアを配し、この上ないホテルライフをお過ごしいただけます。

オールデイ・ダイニング「グランカフェ」
 ロリーポップや折り紙をモチーフにしたカラフルな店内では、パスタやピザなどを目の前で調理。点心やカレーコーナーをはじめ、美しいデザートも充実しています。
営業時間/6時30分~23時(LO23時)
ブレックファストブッフェ 営業時間/6時30分~11時30分
大人3300円、9~12才2500円、4~8才2000円
ランチブッフェ 営業時間/11時30分~14時30分 (土・日・祝日は~15時)
大人 3500円(土・日・祝日4000円)、9~12才2200円、4~8才 1500円
ディナーブッフェ 営業時間/17時~21時
大人5200円(土・日・祝祭日5800円)、9~12才3400円、4~8才 2200円
レイトナイトブッフェ 営業時間/21時~23時(LO22時)
大人2600円、9~12才1200円、4~8才1000円

鉄板焼レストラン「舞浜」
 カウンター席ではシェフが目の前の鉄板で調理し、自慢のパフォーマンスを披露します。 テーブル席ではセットメニューやお子様に人気のメニューもご用意しております。また、バーカウンターではお食事前にオリジナルカクテルなどもお楽しみいただけます。
営業時間/17時30分~23時(ラストオーダー22時)[全席禁煙]
メニュー/コース、アラカルト、ファミリーセット
料金/コース1万円~

【トピックス!】
 7月31日(土)から8月29日(日)までグランカフェから一望できる広々としたホテル庭園で、千葉産食材と世界の美味しさを集めた「シェラトンWAI-WAIガーデン」を開催します。
 潮風が心地よい夕刻より、シェフがお客様の目の前で、炭火で焼き上げるフードブッフェ。千葉産のビーフやシーフードを使用する“千産千消”をテーマにした屋台で、チヂミやドネルケバブ、フォーなどの世界の屋台フードまで食べ放題で楽しめます。庭園に漂うグリルの香りに誘われて、星空を眺めながらほおばる最高のご馳走をお楽しみください。
場所/ホテル庭園 
時間/17時~21時30分(LO21時)
料金/大人6000円、9~12才3000円、4~8才1500円
※食べ放題、フリードリンク、税金、サービス料込、雨天中止

オールデイ・ダイニング「グランカフェ」
オールデイ・ダイニング「グランカフェ」
鉄板焼レストラン「舞浜」
鉄板焼レストラン「舞浜」

くつろぎのロビー
くつろぎのロビー

ダイナミックな滝がゲストを迎える
ダイナミックな滝がゲストを迎える

シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル
千葉県浦安市舞浜1-9
TEL 047-355-5555(代表)

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