2020/7/20

免疫力を上げる食事

SATOKOのオーガニックな「食」のつぶやき

免疫力を上げる食事
免疫力を上げる食事

「免疫力を上げましょう」とよく言われるが、そもそも免疫とは何か。免疫とは、体内に病原菌や毒素その他の異物が侵入しても、それに抵抗して打ち勝つ能力であり、異物と反応する抗体を作って発病をおさえる抵抗力のことである。私たちはみな、この免疫システムを持っている。

免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」がある。自然免疫は、体の第一次防衛システムのようなもので、細菌やウィルス、カビなどの病原体が体内に侵入しないように守っていて、中心となるのは、白血球の一種である「マクロファージ」などの貪食細胞やナチュラル・キラー(NK)細胞だ。これらは全身すべての組織に存在しており、体内に侵入しようとする細菌やウィルスなどをキャッチして食べる。また体内で老朽化した細胞や、変性を起こしたたんぱく質や脂質なども異物とみなし排除する。

私たちの体内では異物の侵入を防ぐために常にこのシステムが働いている。自然免疫は自らの生命を守り、種をつなぐために、すべての生物が生まれながらにして備えている重要な生命防御システムなのだ。一方獲得免疫は、生物が成長していく過程で徐々に備わっていく第二次防衛システムで、病原体が自然免疫を突破して体内に侵入してきた時に発動される。中心となるのはT細胞やB細胞などのリンパ球である。病原体が侵入してきた時、これらの細胞が体内で抗体を作って集中攻撃を仕掛け、効率よく殺し、排除する。いろいろな病原体や異物に接触することで身につき、自然免疫では対処しきれない病原体を処理することで、同じ病原体が再度侵入してきた時には素早く攻撃できるようになる。これが俗にいう「抵抗力が強くなる、免疫がつく」ということである。ほとんどの生物が持つのは自然免疫のみだが、私たち人間には2つが備わっており、さまざまな外敵から身を守ることができる。自然免疫と獲得免疫の連携がうまくいかないと、免疫機能は低下し、病気やアレルギーなどを発症する。現代人は免疫力が低下していると言われているが、その原因は環境の悪化やストレスフルな生活に加え、睡眠・運動不足、劣悪で偏った食生活、食品添加物などの化学物質の過剰摂取などが挙げられる。風邪が流行っている時に、引く人と引かない人がいるのは免疫力に差があるからと言えるだろう。同じようにインフルエンザに感染しても、免疫力が強ければマクロファージがウィルスを食べ尽くして発病には至らないだろう。

では免疫力を上げるためにはどうすればいいのか。最も重要な役割を果たすのは「発酵食品」だ。発酵に必要な「微生物」が私たちの免疫力を高めてくれる。日本には味噌・醤油・納豆・ぬか漬けなど、数え切れないほどの発酵食品がある。日本以外の国々でも、世界中の民族が独自の方法で発酵食品を作り、食してきた。ヨーグルト・チーズ・キムチ・ビネガーなど、挙げればきりがない。

私たちの免疫力の70%は腸にあると言われている。つまり人体において最大の免疫器官が腸なのだ。腸の状態を良好に保てれば、免疫細胞も元気になる。腸内の免疫細胞は、栄養物質と病原菌を、吸収するもの排除するものとに巧みに選別している。発酵食品を食べるということは腸内細菌の種類と数を増やし、腸内の活性につながる。

また免疫システムを正常に働かせるために、必要な栄養素を過不足なく摂ることも重要だ。ビタミンA・B群・C・Eの4種類のビタミンと必須ミネラルである亜鉛は、きちんと食事から摂り込みたい。この栄養素群は、単体ではなくチームとして私たちの免疫力を保ち向上させているので、何か特定のものを食べれば良いわけではない。やはりバランスよく食べる必要がある。私は食事の土台となる穀物と豆類を全体の食事量の45%、多種類の野菜を40%、その上に動物性たんぱく質は10%程度にとどめ、オイル・海藻・きのこ類・調味料(発酵食品)を摂るという食事を推奨している。このバランスで食事を組み立てていけば、必要な栄養素をきちんと摂ることができ、免疫力も強化できるので、ぜひおすすめしたい。

石橋さとこ
食育プロデューサー。一般社団法人 The Organic Days 代表理事。"Food・Health・Education "をテーマに、イベントや講演会を多数企画。2017年に「子供の食を考えよう! 学校給食改革委員会・福岡」を立ち上げる。またオーガニック食材を日常のものにするために2019年の秋より福岡・天神にて「福岡オーガニックマルシェ」をプロデュース、好評を博す。持続可能な社会を目指す取り組みのひとつとして「オーガニック」の普及を地元企業と連携して進めながら、学校給食でもより安心安全な食材を使用できるよう活動を続ける。

石橋さとこ
石橋さとこ

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