2016/4/8
ハラル和食
HALAL WASHOKU
世界の人口増加率を上回る勢いで爆発的に成長するムスリム人口。2050年までには世界人口の3人に1人がムスリムで占められるであろうという予測もある。
また、在日ムスリム人口が20万人に達し、年間23万人にのぼるムスリム富裕層が来日しているにもかかわらず、ハラルレストランは日本全国で百店舗に満たない。
「しかも、そのほとんどは在日ムスリムや愛好者向けの自国料理なんですよ。でも、外国の方が日本にきて食べたいものといえば、何と言っても今人気の和食でしょ?」東京渋谷の創作和食料理屋「花咲かじいさん」店主の小山数雄氏はいう。「花咲かじいさん」は、他に先駆け2013年に日本で初めてのローカルハラルレストラン認証を公式に取得し、今では月百名を越すイスラム圏のお客様にハラル和食メニューを提供して大人気の店だ。もともと、優れた料理品質と通がうなる美味しさで、フレンチの有名シェフなども足繁く通うよく知られた存在の店だったが、最近ではハラル料理のパイオニアとしても料理界から注目を浴びている。
「花咲かじいさん」には、ムスリムのお客様が人気メニュー「ハラル御膳」を予約してやってくる。ムスリム諸国には親日国が多い。おいしい店に女子が集まるのは、世界共通。
「ひとくちにハラル対応の和食と言っても、豚肉はもちろん、お酒もみりんも使えない、和食には絶対に外せないお寿司でさえ酢が使えない、人気の和牛も、必需品の醤油もハラル認証を受けたものでなければもちろん使えない。その他禁忌物を含む調味料など、使えないものだらけなんですよ。またすき焼きの生卵など習慣の違いや、煮物などが苦手の人も多いのに気がつきました。」小山氏は、試行錯誤の長い時間をかけて、みりんも酒も使わない極上の天つゆやタレ、独自製法によるハラル対応の酢飯などを次々と開発、またハラル認証を受けた最高級の神戸ビーフもわざわざ取り寄せている。「メニューには材料・成分表を明記するなど、ムスリムの方が安心して日本料理を楽しんで頂けるよう工夫をこらしています。」「宗教や文化の壁を超えて、日本を訪れてくる世界中の人にもっと日本食を楽しんでもらいたい!」と小山氏は語る。
フェイスブックに同店の「ハラル御膳」の写真がアップされると、たちまち海外から60万アクセスが集中して、小山氏自身を驚かせた。ハラル和食をいろんな人に知ってもらいたいと立ち上げたクラウド・ファンディング「ムスリムの方向け和食メニュー開発プロジェクト」もすぐに目標額を達成してしまい、小山氏はハラル和食の将来に確かな手応えを感じている。