2016/11/10

セルリアンタワー東急ホテル

セルリアンタワー東急ホテル
セルリアンタワー東急ホテル

若者の街、渋谷。その中で唯一のシティホテルは、そのイメージをくつがえすように大人が集える落ち着いた場所として悠然と佇む。
15周年を迎えても、モダンさは変わることがない。
味の継承、全国のグループホテルのボトムアップを目的に開催される東急ホテルズ全体でのコンテストは今回で15回目を迎えた。会社が掲げる“食の東急”というスローガンを前に「評判を落とさないように守っていく気持ちでいます」と力強く語る福田順彦総料理長が、次世代に託す思いとは。

福田 順彦
福田 順彦

副総支配人・総料理長 福田 順彦
2001年のホテル開業時に総料理長に就任。以来、ホテルの料理に関する総合プロデューサー役を務めている。料理界はもとより、文化人・オペラ歌手・ワイン醸造家など各界の著名人との親交も深く、彼らとのコラボレーションによる食事会を多数開催。2008年にはフランス共和国政府より「農事功労章 – シュバリエ」を受章している

料理の味に映し出される人間力

18歳から77歳まで、3世代にも渡るスタッフをまとめる福田順彦総料理長。対応の難しさはないかと尋ねると「全くありません。特に、大家族で過ごす時代を経験した先輩たちに教えてもらうことは多い」と言う。
ホテルとともに歩んできた15年、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災など、雇用負担の軽減を迫られた時期もあったが、チームで乗り越えてきた。
今では福田総料理長のもとから10名のシェフが各地の東急ホテルやグループ会社へと旅立ち、料理長を務めている。「人員体系はピラミッド型が理想。逆ピラミッドになったり形がいびつになったりすると、一見ベテランが多くて良いように見えますが、常に若いスタッフを加えて健全な形を維持していくことが重要です」。幅広い世代を抱え、他ホテルや他業界からも積極的に人員を受け入れる体制は、ホテルとしての特徴でもある。
また、女性の活躍も目立つ。彼女たちが何を目指すべきか分からず迷っていたり、悩んでいたりするときには「食は朝昼晩と必ず接するもの。家庭に入っても、ここで身につけたことはきっと役に立つはずだと伝えています。できれば1年だけで終わるのではなく、2年、3年と経験を積んでいって欲しい」。そういった気遣いが、スタッフにとっても心地良い環境を作り出しているようだ。

「料理人は色々な風に当たることが必要です。そうやって培った人間力というものが料理の味へと反映されますから。厚みのあるルセットを持っていても、薄っぺらい一枚の紙のような人間性であれば恐らくその料理への支持は得られない。海外ゲストからのオムレツのリクエストには77歳の私の恩師に対応をお願いしていますが、人の厚みというものがゲストを満足させるのだと実感する瞬間です」。

メインバンケット「セルリアンタワーボールルーム」
メインバンケット
「セルリアンタワーボールルーム」
タワーズレストラン「クーカーニョ」(40F)
タワーズレストラン
「クーカーニョ」(40F)
「クーカーニョ」ウェイティングバーより富士山を望んで
「クーカーニョ」ウェイティングバーより富士山を望んで
庭園デザイナー枡野俊明氏デザイン「閑坐庭」
庭園デザイナー枡野俊明氏デザイン
「閑坐庭」

何が起きても、揺るがない価値を

開業当初からの集客システムによって、特に欧米を中心に海外ゲスト比率はもともと50%前後を占めていた。「イギリスの方などは昔からベジタリアンも多かったので、そういったリクエストにはずっと対応してきました。最近はさらに多様化していますが、合理化し過ぎてシステムにないイレギュラーなことが受け入れられないという事態にならないよう、枠を広くするよう心がけています」。
一方、集客システムだけに頼るのではなく、エージェントと一般との比率を守っていく必要も感じている。「連泊、単価が高いことから、海外ゲストのみに目を向けてしまいがちですが、何が起きるか分からない時代、それだけではアップダウンが大きく、不安定です。スタッフの安定した生活を守るためにも、50%弱の海外ゲスト比率がベストだと考えています。
国内ゲスト、法人に使ってもらえる絆も築いていくことが、経営の安定になります。従業員の満足はサービスへ、お客さまの満足へとつながっていきます。3つがスパイラルのように円滑に回っていくように努めるのが私の役割だと思っています」。

キッチン理念も明解だ。15年経ったいまも美しく維持されているのは「病院に劣らない衛生管理を行い、料理人が職人として集ったときアトリエのような創作空間であり得るキッチンを確立しつつ、働く人の規律を厳しく守ってきた」から。ホテルができる前にオーナーに伝えたというその理念を守り通してきた。だからこそ、料理はアートとして進化し続ける。
「ここは能舞台を備えるなど、文化人も集うホテルです。料理は、本物志向のゲストにも満足してもらえるものでありたい。生理的なだけの食ではなく、芸術性が感じられるものでありたいのです」。

 
セルリアンタワー東急ホテル
東京都渋谷区桜丘町26-1
TEL:03-3476-3000
URL:www.ceruleantower-hotel.com

天井高く吹き抜ける空間に静謐な雰囲気が漂うメインロビー
天井高く吹き抜ける空間に静謐な雰囲気が漂う
メインロビー

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