2018/8/20

体にいい油・わるい油

SATOKOのオーガニックな「食」のつぶやき Vol.002

「油」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか? 太る原因、不健康な印象、ダイエットの敵…? とにかく悪者扱いされがちなものですが、私たちの体に絶対に必要な3大栄養素の1つが「脂質」です。

3大栄養素とはタンパク質、糖質、脂質で、中でも脂質は体を動かすための重要なエネルギー源。水と同じくらい欠かせないもので、脳や細胞膜、ホルモンなどの材料にもなります。なので、どんな油を摂るのかはとても重要です。料理にも欠かせない油。油選びはもっとも重要な食材選びなのかもしれません。

体に良くない油のナンバー1と言われているのは「トランス脂肪酸」です。このトランス脂肪酸には、天然のものと人工のものがあります。問題なのは人工のもので、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング。また、植物油脂と表記されているものもトランス脂肪酸が多い油が使われている可能性が高い。このトランス脂肪酸、がんや糖尿病、認知症などのリスクを高めることが判明しているこわーい油。水素を添加して作り出すこの油は自然のものではないので、蟻も近寄りません。分子構造がプラスチックに似ていることからプラスチック油とも呼ばれています。ではどんな食品に多く含まれているのかと言うと、揚げ物、パン、クッキーやケーキなどのスイーツ、マヨネーズやコーヒーフレッシュにも。私は、あるホテルの会員なのですが、先日会員特典のプレゼントでホテルメイドのスイーツを頂きました。裏の表示を見ると、マーガリンが…。一応理由をお伝えしてお返ししました。これほど危険な油脂だと思っていますが、日本での危険認知度はまだまだです。絶対に口にしてはいけない油脂なのに。近年先進諸国では禁止・規制されており、アメリカでは今年2018年6月から全土で!!使用禁止になりました。他には、ドイツ、デンマーク、スイス、オーストラリア、カナダ、シンガポール、ブラジル、チリ、韓国などでトランス脂肪酸の含有量の表示を義務づけたり、使用基準値を設けるなどの対応が取られています。世界保健機関(WHO)でも1日2gに摂取制限すべきとの警告が出ていますが、残念なことに日本では未だにトランス脂肪酸に対して具体的な措置がとられていません。食品への表示も義務づけられていないため、知らないうちに体へ取り込んでしまっている可能性が非常に高いのです。

次に避けたい油は「酸化した油」です。油は過熱されると酸化反応が早まり、過酸化脂質(がん化や動脈硬化を招く危険な活性酸素のもと)が生じます。菜種油やごま油などオメガ6が多い油は、170度まで。オリーブオイルはオメガ9が多いので240度まで加熱しても大丈夫です。最近流行りの亜麻仁油、えごま油などオメガ3の多い油は70度までなので、加熱調理には向きません。オメガ3は生で摂るのが良いと言われるのには、このように油の融解点が関係しています。料理は化学ですね。ここまで考えて調理されていたら素敵です。油を賢く使い分けるだけで、かなり健康的な食生活になることでしょう。オメガ3は積極的に摂りたい油で、中性脂肪を減らして高コレステロールを改善し、生活習慣病を予防する効果があるほか、がんの増殖や転移を防ぐ効果が発見されています。体内で作り出すことができないので、食べ物から摂取する必要があります。含有量の多い食品は天然の青魚の油やナッツ、冬野菜など。亜麻仁油を選ぶ時は遺伝子組み換えでない品種で、オーガニック栽培されたものを選びましょう。製法はコールドプレス(低温圧搾)製法で搾油されていること、人体に有害な成分が混入しないよう化学溶剤を使っていないことが大切です。この点はほかの植物油を選ぶ時も同じです。

よくある「サラダ油」はノルマルヘキサンという劇薬で化学的に抽出されています。安い油にはやはり安いなりの理由があるので、製造法や非遺伝子組み換えなどの表示を明確にしてこだわっている製品を選びたいものです。

SATOKO
SATOKO

『安心安全な食をスタンダードに』をモットーに、食育プロデューサーとしてイベントや講演会を多数企画。SOLAアカデミー主宰。「衣食住と心」を整えることで、心身ともに健康でより豊かな人生を楽しむことをコンセプトにした学びの場「COME TO LIFE」を開講。食と栄養と健康のセミナー講師。ナチュラルフードプロデュースも手掛ける。また未来の子供たちの健康と地球環境を守るための活動も行っている。


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