2018/2/9

レストラン ル・サンク

パリの超高級ホテル「パラス」に認定されている、フォーシーズンズ ホテル ジョルジュ・サンク パリの看板レストラン「ル・サンク」は、歴史的に3ツ星を運命づけられている。
「トレンドは関係ない。美味しい料理か、そうでないかのみ」。強気に言い切るシェフには、自信しかなかったように見えるほど。しかし、強靭な精神力と、あくなき努力がなければ3ツ星獲得はあり得なかった。その日々と、料理への原動力を聞く。

ジョルジュ・サンク パリ 総料理長クリスチャン ル・スケール
ジョルジュ・サンク パリ 総料理長
クリスチャン ル・スケール

フォーシーズンズ ホテル
ジョルジュ・サンク パリ 総料理長
クリスチャン ル・スケール

ブルターニュ地方プルイニック出身。レストラン・オペラのシェフに就任後、34歳で1ツ星、1998年に2ツ星を獲得。1999年にパヴィヨン・ルドワイヤンを引き継ぎ2000年に2ツ星、2002年に3ツ星、以降12年間にわたり3ツ星を維持し続けた(パヴィヨン・ルドワイヤンは現在も3ツ星を更新中)。2014年には「フォーシーズンズ ホテル ジョルジュ・サンク パリ」の総料理長に就任、2016年に「レストラン ル・サンク」の3ツ星を復活させる。

料理のコレクションを創造する

ル・スケール氏が行ったのは、“皿の設計”である。「ここでは昔は必ずポタージュが出ていました。私はそれをオニオンスープに変え、名物に仕立てあげました。しかもそれを平らな皿で供するという珍しい方法をとりました」。このプレゼンテーションはパリのガストロノミー界を仰天させた。「ブダン(豚の血のソーセージ)をとてもエレガントな方法で供することも試みました」。

料理のかたわらでコミュニケーションにも力を入れ、自身の考えをさまざまな場で伝えた。「私は料理人であると同時に説明者でもあります」。15年間に渡りパヴィヨン・ルドワイヤンで3ツ星を維持した経験を持つが、その間は多くのことを秘密にしていたのだという。「そのおかげで一つのブランドを作ることができました」。だからこそ、今は逆に情報発信をすることで大きな効果が得られることを良く知っている。

料理へ向かう姿勢は揺るぎない。「私は味覚のプロであり、新しい味覚を創り出すことが大好きな職人です。ここではお客様はその荘厳な伝統を楽しみにいらっしゃると同時に、ちょうど自分に合う洋服の仕立てや香水の香りを探すように、自分に合う味覚を探し求めていらっしゃいます」。伝統を重んじながら、最先端へと向かう。

毎日新しい何かを生み出す

「毎日変わっていかなければならない。生まれた時の服をずっと着ているわけにはいかないように」と、3ツ星をキープする気持ちを語る。毎日一つ一つ、新しいことを積み上げることが秘訣なのだと。「いつもいろいろなものを探し、いろいろなことを試し、研究します」。自身を”開かれた人間”と表現、「食材に関してフェアであることが大切だ」と言う。とり入れられるものはどこのものでも取り入れる。「このレストランでは特に外国人のお客さまが多いので、彼らの国の食材がフランス料理に生かされているのはおもしろいと思います。しかしそれは彼らの国の料理ではなく、あくまでもフランス料理でなければならない」。香水の世界では最高の香りを作り出すのにイランに最高素材を求める。しかし香水はフランスで作られる。「それがフランス香水。それと同じです」。

「グランシェフになるのを急いではいけない。まずは日本で基礎をしっかり学んでください。医学校やグランゼコル(フランスの高等大学院)で勉強するのと同じで、一旦職場に入ると気が狂うほどさまざまなことを解決しなければなりません。シェフになるということはそういうことです。それに備えて、ただただ一生懸命励んでください」。そしてこう続ける。「料理人は素晴らしい職業です。ベースをきちんと学び、焦らずに、良い人生になることを祈っています」。逃げ出したくなったことはない。最高の称号を手に入れても走り続けるシェフからのメッセージだ。

レストラン ル・サンク
31 Avenue George V, 75008 PARIS, FRANCE
TEL:+33(1)49 52 71 54

レストラン ル・サンク
レストラン ル・サンク

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