2013/6/20

郷土愛溢れる食の國「ふくい」

福井県で出会ったおいしい食と作り手たち

若狭湾と日本海の恵みにより、古代から平安時代まで、皇室や朝廷に海産物などの食料を捧げた「御食国(みけつくに)」として知られる福井県は、嶺南(若狭)と嶺北(越前)に分かれる。この地では豊かな土、山からの湧き水、寒冷な気候に育まれた豊かな海産物、農産物が獲れる。また、魚の糠漬けであるへしこや小鯛のささ漬け、おぼろ昆布、汐雲丹など伝統的な食文化を持っている。つきぢ田村の初代、田村平治氏が福井県小浜市出身である縁から、三代目田村隆氏と服部栄養専門学校の教員10人が福井県を訪れた。

食の達人が、嶺南の食文化を語る

つきぢ田村三代目 田村隆氏
祖父は生まれ育った郷土愛をすごく大事にしていました。今回実際に若狭ぐじの水揚げを見て、魚が揚がった時から箱を分けるなどブランド化されていてスゴイと思いました。

服部栄養専門学校 鈴木章生教務部長
福井県は幸福度ナンバーワンの県。丁寧に作られたパンフレットや文化施設の担当者の熱意に強烈な郷土愛を感じました。

奥井海生堂(本社:福井県敦賀市) 奥井隆代表取締役社長
大野市の上庄里芋について、ある京都の料理人さんから『京都の海老芋よりおいしい』との評価をいただきました。福井県はコシヒカリの生まれた県ですし、昆布のように自然環境の良さで天産品の価値が決まるのであれば、福井県産物は評価が高くなって当然だと思います。これまでにとらわれずちょっとしたイマジネーションで新たなことを生み出せるのではないでしょうか。

目からウロコの田村隆氏考案の嶺南地域の昼食メニュー

甘海老二種丼
甘海老二種丼
寒鰤サンド
寒鰤サンド
田村隆氏
田村隆氏

奥井海生堂で昆布の熟成蔵を見学

昆布は天然の産物なので、ワインのブドウと同じで、いかに太陽が当たるか、潮の流れが緩慢か、良い寒流が入るかなど、地形や環境で味が決まります。

蔵囲利尻、羅臼、日高、山出しの4種類の昆布を水に浸けて一晩置いただしの飲み比べをした。田村氏曰く「山出し昆布は柔らかく、繊細でまた会いたくなる味。かつお節との相性も良い」とのこと。
奥井海生堂
http://www.konbu.co.jp/

創業208年の汐うに専門店「天たつ」へ

汐うにの作り方は、生ウニに塩を振り、水分を抜き、練り込む。水分を抜くことでうまみの濃い、磯の香りの濃い味になる。一口舐めると想像以上に濃厚な磯の香りに驚く。100gの汐うにを作るのに100個以上のバフンウニの卵巣が必要となるため、100g1万2000円と高級品だが、記憶に残る味は、贈答品や自宅用としても人気がある。
天たつ
http://www.tentatu.com/

小浜漁港で若狭ぐじの水揚げを見学

和名アカアマダイ、ブランド名「若狭ぐじ」は、釣り上げられた時点で他の魚と別に管理され、冷水で締める。若狭ぐじのウロコはとても軟らかく繊細なため、鯛や表面の硬い皮はぎを一緒に入れるとキズが付くからだ。若狭湾で獲れた中から鮮度が良く、姿形が美しい大型のアカアマダイだけが、若狭ぐじとして出荷される。

煮崩れしにくい上品な味、上庄(かみしょう)里芋

日本百名山の一つである荒島岳のふもと、水の郷百選の大野市で作られている上庄里芋は、汁ものにすれば煮崩れしにくく角がきれいなまま残る。
種芋を4月10日~15日頃に植えて、10月頃に収穫する。8月15日までに2、3回、里芋をおいしくするために子ずいき刈りをする。「暑いさなかに私らの背よりも大きくなるずいき(茎)の間に入っての作業は、風通しがないし、むせるし、大変」。苦労する分、収穫の嬉しさは格別だ。

何でもものを収穫するには簡単にはいかないわ。このあたりは雪が1~2mも積もるから、寒くなったら納屋で作業できるように11月中旬には全部収穫して納屋に入れてしまうの。あとは出荷に向かっておんぼり(和やかに)やっていくだけ。二人ですれば早いからね。


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