ロイヤルパークホテル

1989年開業、東京日本橋に位置するホテルは、空港や東京の主要駅のどこからでもアクセスしやすいという交通の利便性に加え、歴史に裏打ちされた確かなサービスで、国内外のエグゼクティブを迎え入れてきた。仙台、横浜、東京の3店舗はグランドホテルとして、地域と客層に合わせ、それぞれの特徴を活かした料理を提供している。
　
飯村功総料理長と南安総支配人に、グランドホテルとしての立ち位置と、未来について聞く。

「アベノミクスによって円安が進み、外国人ゲストはますます多くなっています。現在1,500万人とも言われる外国人旅行者のうち7割が東京に滞在していますから、月に100万を越える人数を受け入れていかなければならない。このことを認識し、毎年毎年の備えを考えていく必要があります。客室を増やしたり新しいホテルを建設することは難しいので、今あるものの中でできる限りのリニューアルをしていく予定です。これは2020年のためというよりも、宿泊市場に対しての対応です。特にこのホテルは、観光や買い物目的のための滞在ではなく、ビジネスで来日する外国人エグゼクティブの方が多い。その形態は恐らく変わらないと思います。そのようなお客様に向けて、客室の改装を行っていきたいと考えています」。

「オリンピックそのものだけでなく、前後に“MICE（M=Meeting、I=Incentive、C=Convention、E=Exhibition）”も急増するはずです。富士山や箱根、日光に近いといったロケーションの魅力を伝え、それぞれの施設がここで良かったと思ってもらえるようなサービスを行い、オリンピックが終わった後の反映も深慮していかなければなりません。残念ながら長野オリンピックのときにはそれが考えられていなかった」。南総支配人の展望は、オリンピックだけに留まらない。

シェフクラスに関しては、人材が随分育ってきた。それに続く世代には「この人に任せたら大丈夫、1つ言ったら5まで仕事をしてくれる」と思われるようになって欲しい、と常々伝えている。加えて、10年後に自分がどんなポジションにいたいかシミュレーションすることの重要性も説く。明確なビジョンを描くことで、今なにをするべきか考え、普段の仕事に活かすことができるからだ。
　
豊かな時代に育ってきた現代の若い人たちは、ハングリー精神が薄いのも否めない。しかし、今だからこそできることもある。「開業時の1980年代後半から、IT化の大きな波を経て、世代というよりも環境が変わっていった。以前は先輩の背中を見て学んだり、就業時間が終わってから残って練習をしたものですが、今は業務の１つとして技術習得の時間を設けなくてはならない時代です。ただ、今の若い人たちは教わり方を知っているので、吸収も早い。教える側の手法としてもバリエーションが増えました。最近は、YouTubeで職場内研修を実施しています」と南支配人。「鶏のさばき方、パンケーキの作り方など、毎回題目を決めてシェフが実践したものをビデオ撮影し、発信しています。このシステムを作ってもらったのはとても有難いことです。また、海外研修も積極的に実施しています。世界を見ることは非常に大切です。チャンスがあればどんどんチャレンジして欲しいし、彼らの経験が会社にとっても財産になっていくと信じています」。飯村総料理長の想いは熱い。