2014/03/10
ブッフェのプレゼンテーション
ブッフェはプレゼンテーションの時代に突入しようとしている。「ブッフェでも美味しい」という時代はとうの昔に終わりを告げた。美味しいことは大前提である。美味しいだけでは足りず、安心感やヘルシーさがあったり、ライブ感にこだわったりしなければならない。
しかし、ライブ感にだけこだわっていても、いずれは置いていかれてしまう。次のブッフェで重要となるものに適応していかなければならない。では、重要となるものは何なのか。それは「芸術性」だ。ブッフェの芸術性を高めることによって、付加価値を高め、単価も上げることができる。
芸術性の高いアーティスティックなブッフェを行うには、ブッフェ台におけるプレゼンテーションが極めて重要となる。
プレゼンテーションで重要となるのは次の5ポイント
高低さがあるかどうか
高さを上手に使うことにより、お客さまの目を飽きさせない。単調な平面は時代遅れとなりつつある。什器のみではなく、装飾物を置いて高低さをつけるのでもよい。空いたスペースを作らないことも重要。空いたスペースは高さがなく、単調で寂しい。
光の強弱があるかどうか
野菜類に明るい光を当てて鮮度をよく見せたり、電球灯で柔らかい雰囲気を作ったりすることは一般的だ。スポットライトのようにメリハリを付けたり、硬い光と柔らかい光を使い分けたりしたい。
色のコントラストがあるかどうか
食べ物であると、必然的に落ち着いた色合いに偏り易い。だが、そうなると地味な印象を与えてしまう。装飾物はもちろん、野菜や果物など、素材そのものを置くなどして、華やかにしたい。
動線が複数あるかどうか
芸術性は高まったのに、ブッフェ台が混雑してクレームが多くなったのではもったいない。動線確保にも注意する必要がある。日本人は真面目なので、列の間が空いているからといって割り込みをせず、一列に並ぶ。行列になり易い場所を途中で区切り、動線を増やしたい。
- 高さが足りない所や目立つ場所に高さを作り出している
- ひっくり返した玉子ケースにヴェリーヌ(グラスデザート)がすっぽりと収まっている
上品な雑多感があるかどうか
最終的なゴールはこれだ。ブッフェなので賑やかさが必要である。それが雑多感である。すかすかになっていては、チープに思えてしまう。ただ、雑多感があるだけでもいけない。上品さが伴っている必要がある。上品な雑多感を演出することにより、美味しく見えて、付加価値も高まるのだ。
小物やギミックにもこだわっていただきたい。
ネームプレート
料理名は具体的に明記する。「本日の魚料理」では、いくらよいものを使っていたとしても、お客さまに伝わらないだろう。お客さまに伝わらなければ価値はゼロであると考えていただきたい。
POP類
ネームプレートで伝え切れないものを表現すると、付加価値を高められる。ブランド食材の説明やトリビア、料理人のこだわりを記載するのも、お客さまの興味を引くのでよい。
マップ
ブッフェ台を中心とした店内の見取り図。どこに何が置かれているかを、知ってもらえる。マップを眺めるだけでイメージが膨らみ、より楽しくもなる。
- 素材に関する説明で料理の価値を高めている
- 期待を高める店内マップ
メニュー表
ブッフェでありながら、コース料理のような高級感を演出できる。全てのメニューを記載する必要はないが、ポイントとなるメニューは載せたい。メニュー表があるだけで、一品一品考えられた料理であるとお客さまは思う。
東龍
ブッフェ評論家・グルメジャーナリスト。知識を競う、TVチャンピオン「食べ放題通選手権」で2002年と2007年に優勝。All Aboutの「ブッフェ・食べ放題・バイキング」ガイド。「すみれ草201」(http://www.sumire201.com/)主宰。ブッフェの発展に寄与するべく、テレビや雑誌でも活動中。
- 東龍