2015/05/08
タイユヴァン、季節感へのリスペクト、伝統と革新
タイユヴァン シェフ アラン・ソリヴェレス
- アラン・ソリヴェレス
1946年創業の名門フランス料理店「タイユヴァン」。多くの有名レストランが世界中に多店舗展開をはかる中で、こだわりの姿勢を貫く世界的名店。そのタイユヴァンを託されたシェフ、アラン・ソリヴェレス氏。新生「タイユヴァン」ともいうべき味の境地を作り上げる。
タイユヴァン料理の特徴とは?
タイユヴァンの厨房は、フランス料理の研修所のようなものだ。規律と伝統、食材と季節、そしてジビエなど、季節の味付けの研究所であり訓練所だ。僕は古典的な伝統料理だけでなく、ヌーベルキュイジーヌでも働いたのでよくわかるが、伝統と革新の思想が交錯し、その中に一筋の料理の基本が引き継がれていることがタイユヴァンの料理だと思っている。
そして、タイユヴァンの料理は伝統が息づく中で気がつかないほどに日々変化している。テーブルセッティングも盛りつけも変化している。タイユヴァンの特徴は、世界中から、世代にまたがった様々なお客様をお迎えしているということだ。外国からのお客様が30年後に今度は自分の子供達や孫達を連れてやってくる。そして、その時にタイユヴァンの驚くべき進化を感じるというのさ。
- タイユヴァン店内
話題のタイユヴァンのブラッスリーについて聞かせてください。
サンディス・ドゥ・タイユヴァンだね。これは、110(サンディス)種類ものグラスワインを料理とともに味わえるということでその名前がついている。前菜からデザートまで、それぞれの皿に最高に相性の良いワインを各4種類ソムリエが厳選して、量も7~14センチリットルのグラスワインが自由に選べる。しかも、勇気と財布を振り絞っても一生に何度かしか味わえないようなグランヴァンのボトルがグラスワインで気軽に味わえるという醍醐味がある。料理も、前菜は10ユーロから、メイン30ユーロと、とてもリーズナブルだ。これが大人気で、2015年の6月にはロンドンに2店目をオープンする予定だよ。
日本人料理人の印象は?
日本人とは、35年間いつもいっしょに働いてきた。本当の仲間だと感じている。彼らの態度は控えめながら、いつも一生懸命に学ぶ姿勢が本当に尊敬に値する。
タイユヴァンでも、5~6年前までは、8人の日本人がいたし、私の副料理長は長い間日本人だったんだよ。
日本人料理人は、フランス料理界では優秀な存在として誰からも一目置かれ、その評価が確立している。私も日本に行くたびに、パン等は今や日本の方がフランスより完成度が高いと感じることが多いんだよ。本当に。
これからは、日本人としての誇りを大切にして、もっともっと我々といっしょにフランス料理の発展に励んでもらいたいね。
- アラン・ソリヴェレス
アラン・ソリヴェレス
Alain SOLIVERES
1963年ラングドック地方、ベジエに生まれる。1989年プロヴァンスの最も美しい村のひとつとして名高いゴルドの「バスティード・ゴルド」で初めてシェフとなり一ツ星を獲得。1993年パリ「エリゼ・ド・ヴェルネイ」で一ツ星、1996年には二ツ星を獲得。2002年、パリの名店「タイユヴァン」オーナー、ジャン・クロード・ブリナ氏の指名により同レストランシェフに就任。