2019/12/20
エンリコ・チェレア シェフが、液体塩こうじに出会う
東京シェフズ賢人会議[第8回]in Italy
「私にとってのマスターピースをもたらし得る素材」
調理協力
2010年から9年連続でミシュラン三つ星を堅持するイタリア・ベルガモのリストランテ「Da Vittorio(ダ・ヴィットリオ)」のエンリコ・チェレア シェフ
イタリアンと液体塩こうじの相性
昨年のフランスに続き、今回の賢人会議はイタリアへ。液体塩こうじは塩の代わりにできる、しかもその効果は絶大だと、驚きを持って迎えられた。「旨味が正確であり、塩味ははっきりとしていながらまろやか」。シェフやジャーナリストたちが声をそろえた液体塩こうじは、イタリアでどう発展していくのか。
- DA VITTORIO シェフ
エンリコ・チェレア
- 商品:液体塩こうじ
協力:ハナマルキ株式会社
- Ristorante Serica シェフ チャン・リュウ
- Passione Gourmet ジャーナリスト オラッツィオ・バニョッツィ
- RISTORANTE ANTHIKO ALBERCO シェフ ジュゼッペ・ビアンキ
- Ristorante Serica ソムリエ マウロ・ヤップ
- Identità Golose ジャーナリスト ガブリエラ・ザナッタ
- Osteria della Brughiera
オーナーシェフ ステファノ・アッリゴーニ
- IZU J RESTAURANT オーナー ヴァレンティナ・フー
チェレア
味噌や醤油は使っているが、液体塩こうじは初めて使う調味料だったので、使う前に自分でもいろいろと調べながら使い方を考えていった。
まずは、液体状なので非常に使いやすいという感想を持った。効果についてははっきりと実感できた点が2つ。第一に、旨味を引き出すということ。これは液体塩こうじでしかできないことだと思う。第二に、素材をやわらかくするということ。肉にも魚にも効果的だが、特に魚はやわらかさが増すように感じた。
時間の短縮にも効果的だった。例えば1皿めのフォアグラは、通常の塩・こしょうだと8時間はマリネをするところ、液体塩こうじだと1時間半で十分だった。
リュウ
中華料理とイタリアンをミックスしたレストランをやっているが、取り入れたいと思えた。塩味、塩の香りを感じられる。
ヤップ
すべてのお皿がすばらしかったが、一番驚いたのは塩を一切使わずにこれだけの味が出ること。
バニョッツィ
初めて味わったが、今日、20年ぶりに私のいままでで最も美味しい料理を更新した。特に鳩のカルパッチョは液体塩こうじの風味を心地よく感じた。シェフがオーバーではなくデリケートに使ったのが良かったのだと思う。さじ加減の大切さを学ぶことができた。イタリアにとって、とても興味深い調味料。
ザナッタ
マリネはどれもおいしかったが、時間が短縮できる点も興味深い。今後はさらにテクニックの開発が求められる。
ダ・ヴィットリオの2階、通常はホテルの朝食会場であるスペースが会場。オープンキッチンでシェフやスタッフの作業を間近に見ながらの試食会となった。
窓からは緑豊かな庭を望む。
アッリゴーニ
非常に興味を持った。実際に使ってみて効果を確認したい。塩味もまったくとんがっていない。まろやかでハーモニーを感じられる。
ビアンキ
普通の塩より、塩味のバランスが取れている。舌の上にいい塩味が残っているという印象。デリケートなのに強さも感じられる。パンやジェラートにもいいのでは。レシピを作りたくなる食材を知ることができた。ぜひいろいろと試してみたい。
フー
まずはすばらしい料理に感謝したい。そして液体塩こうじは、最近出会ったなかでもっとも優れた食材だと感じた。汎用性が高く、さまざまな素材に使えると確信している。
チェレア
今回のメニュー制作に関しては、イタリア料理の中にすべて液体塩こうじを組み入れるということを試みた。直接調味料として使う、マリネにする、ゼラチンにするという3つの方法で構成している。
液体塩こうじによって非常に好ましい、口当たりの良い味になる。使えば使うほど奥深さを知ることができると思うので、これからどんどん使っていって、いつか傑作を生み出したい。
液体塩こうじを使った数々の料理
- フォアグラの庭、栗
- マグロの"スパゲット" バーニャカウダ ピスタチオのクランブル
- スカンピのグリル ビーツのグラッサート 水牛のリコッタのクレーマ
- ゴルゴンゾーラのラビオリーニプリン カボチャのエスプーマ キングクラブ ブールノワゼット
- ポルチーニ茸のリゾット 液体塩こうじでマリネしてクリアな甘酒と白味噌をぬった鳩のカルパッチョ
- 牛あばら肉のブラザート プラムと梅酒のジェラティーナ
- レネッテアップルのミルフィーユ 液体塩こうじキャラメル
フォアグラの庭、栗
フォアグラのテリーヌ加熱前の塩の代わりに液体塩こうじを使用。鴨肉にはぬって味をつけた。右上は栗の形のシリコン型の上半分にフォアグラのテリーヌ、下半分に栗のピュレを詰めて冷凍し、カカオのジュレで一部をコーティングして栗に見立てている。
マグロの"スパゲット" バーニャカウダ ピスタチオのクランブル
シェフ自慢の1品。パスタのように細めにカットしたマグロは液体塩こうじで10分ほどマリネしただけ。下にバーニャカウダソースを敷き、ピスタチオをトッピングしている。
スカンピのグリル ビーツのグラッサート 水牛のリコッタのクレーマ
液体塩こうじで11、12分マリネしたスカンピの香ばしいグリル。「スカンピのやわらかさが十分に出た」とシェフ。ナポリのリコッタチーズで、ビーツの甘さを引き出している。
ゴルゴンゾーラのラビオリーニプリン カボチャのエスプーマ キングクラブ ブールノワゼット
ピエモンテ州の代表的な料理の一つ、プリンと呼ばれるラビオリには、ナチュラルゴルゴンゾーラを詰めて。ホールで火を通したカボチャはスパイスで、カニは液体塩こうじで味つけ。液体塩こうじ風味のカニとゴルゴンゾーラの塩気のバランスが秀逸。
ポルチーニ茸のリゾット 液体塩こうじでマリネしてクリアな甘酒と白味噌をぬった鳩のカルパッチョ
生の鳩のムネ肉を液体塩こうじで15分マリネしたあと、甘酒と白味噌をトッピングのようにハケで軽くぬっている。リゾットとのコンビネーションが抜群。
牛あばら肉のブラザート プラムと梅酒のジェラティーナ
白ワインで煮込んだ牛肉に、液体塩こうじを使ったプラムのゼラチンをのせて。付け合わせのジャガイモのクリームにも液体塩こうじで味つけがされている。
レネッテアップルのミルフィーユ 液体塩こうじキャラメル
塩の代わりに液体塩こうじを使うことで、クラシックなキャラメルをシェフ流レシピへと昇華。「液体塩こうじによって甘みと塩みのバランスがすばらしくなった」。キャラメルと液体塩こうじのコントラストが出色のおいしさ。