2012/11/20

健康志向の時代性に合う!
あか毛和牛の産地を訪ねて

神内ファーム21

「克冬制夏」(こくとうせいか)をコンセプトに、北の大地で農業、畜産業を営む

8月20日、北海道、新千歳空港に降り立った料理界の5人のシェフたちが浦臼町にある「神内ファーム21」へ向かった。神内ファーム21の社長を務める神内良一氏(以下、神内オーナー)は、香川県の小作農の三男として生まれ、農業を志すが様々な事情で24歳の時、農業の世界から身を引いた。それから50年後、北海道で600ヘクタールの土地を入手し、長年の夢を叶え、農業生産法人神内ファーム21を設立。「克冬制夏」(こくとうせいか)をコンセプトに掲げ、北海道特産物ではなく、新しい作物を見出した。暖房付きのフィルムハウスを建設し、各地で研修を受けたスタッフが、北海道の風土に合わせて試行錯誤を重ねたことが功を奏し、北海道では類を見ないマンゴーやドラゴンフルーツ、バナナといった南国フルーツの栽培を成功させている。

約6年前に熊本であか毛和牛に出合った神内オーナーは、赤身のおいしさと黒毛和牛に比べサシが少ないことから通常よりもたくさん食べることができた自身の経験から興味を抱き、神内ファーム21での飼育を始めた。2011年3月3日に生産から販売まで行う全日本あか毛和牛協会を設立し、給与飼料や飼育方法などにより質を4ランクに分けている。

現在総面積約2000ヘクタールの敷地には、厩舎、牛舎、めん羊舎、研究所、新規就農者の独立を支援する「夢現塾」生用の戸建て住宅などがあり、花や果樹も植えられ、さながら一つの村のようでもある。

母牛と共に育つストレスがない健康的な牛

あか毛和牛とは、熊本と高知に誕生した褐毛和種で、その肉質は、脂肪交雑が適度で、うま味を豊富に含む赤身が多い。神内ファーム21では、生まれてから24カ月齢の出荷まで草を食べさせる。一般の農家では、生まれてすぐに牛舎に入れるが、神内ファームでは誕生した仔牛をすぐに238ヘクタールの牧草地に放牧し、母乳で育てることで免疫力を強くする。仔牛は3カ月間、母牛と共に生活するため、ストレスなく健康的に育って行く。離乳後には牧草や野草など、草食動物に適した安全な国産の飼料が与えられる。16カ月齢まで放牧し、残りの8カ月は牛舎の中で平均750kgの大きさにする。飼育の様子を間近で見学したシェフたちは「毛並みもいいし、いかにも健康的。早く食べてみたい」と呟きながら人懐こく近寄って来るあか毛和牛の写真を撮っていた。

あか毛和牛が、料理人魂に火をつける!!

産地を視察した後、北海道滝川市にある、増毛連山に囲まれたホテルスエヒロで賞味会が開催された。会場にはあか毛和牛のヒレ、リブロース、サーロイン、三角バラ、ランプ、内モモといった部位が並び、シェフたちは目を輝かせながら近寄って行き、目で見たり、指で触ったりしながら肉質を確かめていた。ホテルが用意したリブロースのせいろ蒸しやしゃぶしゃぶだけでなく、ずらりと並んだ肉の中から宮崎シェフがヒレ、サーロイン、モモをカットして焼き始めると、皆、我も我もとステーキワゴンに集まり始めた。シェフたちは、産地見学で得たインスピレーションを元に、各店で一カ月間ずつ「あか毛和牛フェア」を行う。

牛リブロース
牛リブロース
牛内モモ
牛内モモ
牛サーロイン
牛サーロイン

百聞は一食に如かず。
あか毛和牛は「憎らしい位、おいしい肉」です

料理人は、アーティスト(芸術家)だと思います。そして芸術とは感性であると同時に、時流や時代の要求に従って変化していくものだと考えます。私は6年前、80歳の時に熊本県へ行き、あか毛和牛を食べました。牛肉が好きで、普段は多くても100gしか食べられないのですが、その時いただいたあか毛和牛のせいろ蒸しがおいしくて、気付くと300gも食べてしまいました。聞くと飼育頭数は、黒毛和牛180万頭に対して、あか毛和牛は2万4000、5000頭だという。あか毛和牛は、サシが12、13%ですから、黒毛和牛と同じ物差しで測られると分が悪かった。そこで昨年、全日本あか毛和牛協会を立ち上げ、あか毛和牛の物差しを独自に作り、ランクづけをしています。

あか毛和牛は、肉は食べたいがメタボが怖いという働き盛りの方や、いつまでも若くありたい、という男女の願いに応え得る、時代性に合った食肉だと思います。あか毛和牛は「憎らしい位、おいしい肉」と賞味会で証明されています。「百聞は一食に如かず」です。是非あか毛和牛を召し上がっていただき、あか毛和牛の特性を生かした料理を作っていただきたいと思います。


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