2009/10/23
店のファンをつくろう(2)
おひとりさまの心をつかむ
あなたの店には、女性の1人のお客さまはいらっしゃいますか?特に20代後半から40代の働く独身女性は、自分で自由に出来るお金を多く持っており、消費活動が活発な世代です。外食に対する感性も鋭く、常においしい店を嗅ぎ当てるための嗅覚を磨いています。
1人でも自由に行動できる女性を「おひとりさま」と呼びますが、おひとりさまのように颯爽と行動する女性に憧れながらも、1人ではついぎこちなくなってしまう女性がまだまだ多いのも実情です。何より、食事は1人よりも2人でするのが会話も弾み、楽しいのは当然です。しかし、残業後に人と会うのは億劫だったり、都合がつかなかったりで、仕方なく1人で、というケースも多くあります。
そんな時、店のスタッフが、彼女らのトークの相手になれば、店の評価はぐんと上がります。1人で食事をする時、人は誰でも手持ち無沙汰になります。私は西麻布にあるイタリア料理店を1人で訪ねた際に、店のマネージャーから「はい、どうぞ!」と言って雑誌を5冊ほど差し出された経験があります。美容院にでも来たかのような錯覚にとらわれましたが、そのマネージャーは一瞬にして、1人で初めての店を訪れた私の心細さを拭い去ってくれたのです。またある時は、マジックの種を仕込み、呼ぶと大きな耳を出していたこともあります。たとえ、疲れていても、そんなマネージャーのユーモアに笑っているうちに、元気が出て、つい注文が進んでしまったという経験もあります。
マジックなど特別なテクニックを身につけなくても、1人で来店している人の心に寄り添い、2人以上で来店しているお客さま以上に気を配り、目を合わせ、食後に「お味はいかがでしたか?」「このソースは○○なんですよ」と会話を交わすことで、女性客の心が開きます。そして、次は友人や恋人、家族を連れて再訪するでしょう。おひとりさまを満足させることができる店は接客レベルも高いと思うのですが、いかがでしょうか。(柏田 綾)