2011/11/9
10月18日フランス料理試食研究会
「フランス料理ぎんきょう」で五感を磨く
港支部
10月18日、東京・目白の「フランス料理 ぎんきょう」で港支部のフランス料理試食研究会が開催され、36名が参加しました。
「ぎんきょう(GINGKO)」とはフランス語で「いちょう」のこと。大きな窓から店のシンボルでもあるいちょうの木を眺めることができます。店内にはフランスの画家、アルフォンス・ミュシャの作品や彫刻家の佐藤忠良氏と笹戸千津子氏の作品があります。オーナーシェフの沖江展氏は、港区の「レストラン クレッセント」で20歳から35歳まで働いた後、本郷の「ルリスダンラバレ」で料理長を務め、2002年にぎんきょうをオープンしました。様々な経験を経て「ロケーションは何物にも代えられない調味料だ」と実感し、時間を掛けて大人のための上質な空間を創り出しました。
建築家の泉幸甫氏によるフランスの修道院をイメージしたという外観、内観に圧倒されながら席に着きました。港支部支部長の伊藤俊幸氏より「今日は料理を味わうと共に、人脈も広げてください」とご挨拶がありました。初対面の方々と名刺交換をしながら料理を待ちました。まず運ばれて来たのは北海道鵡川産のシシャモのコンフィ。青唐辛子のブルテが効いています。サクサクとした食感で最高のアミューズです。次の桜海老のピンク色のフランはフワフワ。濃厚な渡り蟹のアメリケーヌソースをカリフラワーとハマグリを白ワインで蒸して作った泡が中和します。沖江シェフ曰く「秋の桜海老は味が濃い」とのこと。いずれの料理も熱い料理は熱々の状態で出てくるので、支配人の鈴木泰宏氏に尋ねるとテーブルごとに作っているそうです。萩から産直で仕入れている高級魚、平鱸(ヒラスズキ)は、身が上品で軟らかく、しっとりとしています。そしてココットに入れ、ミルポワで150~180度で30分間蒸し焼きにしたタスマニア産オーロラ・ラムは軟らかく、臭みがありません。ジュ・ド・アニョー、ジュ・ド・ビアンドを赤ピーマンのピューレでつなぎ、バジルを加えたソースと、付け合わせの熊本産赤ナスのピューレとナスの皮の素揚げの甘みがよく合っています。
デザートは開店時に、フランスのM.O.F.パティシエから贈られたレシピに基づいた濃厚なバニラアイスクリームに、オレンジ風味のさっぱりとしたサバラン。プティフールを楽しみながらコーヒーと共に余韻を味わいました。
最後に締めの挨拶をした会計担当の畑山誠氏は「どれが一番おいしいと決められないほど、どれもおいしかったです」と笑顔を見せました。沖山シェフにお礼を言いながら厨房を見学させていただき、心身共に充足した気持ちで店を後にしました。沖江シェフ、ありがとうございました。
〔MENU〕
北海道 鵡川産 シシャモのコンフィ
桜海老の滑らかなフラン 萩の海で獲れた渡り蟹のソースアメリケーヌ
萩前 天然平鱸のブレゼ プロヴァンス風香味バター被せ焼き
タスマニア産 オーロラ・ラム肩ロース肉の低温ロースト ココット焼き 赤ピーマンとバジルの香るジュ
オレンジ風味のサバランとプラリネのクリーム 特製バニラアイスクリーム添え
コーヒー・小菓子
(レポート 『東京シェフズ』 編集 柏田 綾)