2008/2/12
第13回 レクチャーランチ
チャリティーランチ賞味会結果報告
渋谷支部&シェフズクラブ
タイトル:若手料理人に「食」と「職」について語る
チャリティーレクチャーランチを「ラ・ロシェル」で開催
小雪降る1月23日、東京・渋谷区にある「ラ・ロシェル」にて、東京都司厨士協会渋谷支部とシェフズクラブ主催の「第13回レクチャーランチ チャリティーランチ賞味会」が開催され、若手料理人を中心に約80名が参加した。この催しは、様々な体験を重ねてきたベテラン料理人たちが、若い料理人に対し、「食」と「職」について語る会で、今回は、ラ・ロシェルの坂井宏行オーナーシェフからお話を伺った。参加費の一部は、同支部が定期的に行っている新潟県中越地震の被災地でのボランティア活動に使われる。
渋谷クロスタワー32階にあるラ・ロシェルのチャペルで行われたレクチャーでは、初めに渋谷支部の吉野好宏支部長が、「職場では元気でチャレンジ精神が旺盛な人を求めている。自分自身の目標を持って生きることが大事。今日は常に勇気、やる気、前向きな坂井シェフのお話から学びたいと思います」と挨拶し、坂井氏のお話がスタートした。鹿児島県出身の坂井氏は、幼い頃父を戦争で亡くし、母が和裁をし、女手一つで育てられた。「腕に職を持つように」母から言われ、中学時代から台所に立っていた坂井氏は迷わずに料理の世界に入る。吉田茂元首相の官邸料理人を務めた志度藤雄氏と出会い、チャレンジすることの大切さと、自分が持っている力以上のものを与えられると人は頑張れるということを学び、彼の著作である『一料理人として』(文化出版局)をボロボロになるまで読んだという。
「100人のお客さま全員を満足させるのは難しい。自分やスタッフが楽しく仕事をするためには、支持してくれる80人のお客さまの満足を追求したい」と語り、チームワークなくして店は成り立たないと、23年共に厨房に立っているラ・ロシェルの工藤敏之総料理長の話をし、「彼がいなかったらこんなに素晴らしい場所で仕事はできなかった」と感謝の気持ちを述べた。そしていずれ来る引退時期について、「自分がいつまでもぶらさがっていては次世代の若い人が育たない。ラ・ロシェルイズムを引き継ぎながら、姉妹店の各シェフそれぞれの感性を大事にした店作りをしていってほしい」と後進にエールを送った。1993年から放映されたフジテレビの人気番組「料理の鉄人」については「6年間あの番組に出演したことでもう1度勉強させてもらえたことに感謝したい」と語り、料理人はたくさんの“ポケット”を持つことが大事で、そのためには仕事だけの人間になってはだめだと話した。
今年66歳になる坂井氏は、「外国の旅客船の料理人になるのが夢でしたが、それがフェアという形で4、5年前に叶いました。1つの夢を持ち続けていればいつか叶うんです。50、60歳になった時の自分を具体的にイメージしてみてください」と笑顔で語り、レクチャーを締めくくった。健康でなくては良い仕事はできないと常に身体を鍛えているという坂井シェフの背筋は常にピンと伸び、その立ち姿からも料理人として生きてきた誇りを感じさせた。
その後会場をレストランに移し、工藤総料理長から料理説明を受けながら食事を楽しんだ。シンポフーズによる食材提供と、サッポロビールの無ろ過製法の生ビール「白穂乃香」などの提供があり、参加者は食とアルコールのマリアージュを堪能し、充実したひとときを過ごした。
【料理メニュー】
・冬の美味なるキャベツのプレス 利尻昆布風味 サーモン・寒ブリ・帆立貝のフュメを飾り、3色ソースで華やかに
・高原白菜のスープ ポトフーのように
・千葉大原産 伊勢海老の殻付ソテーと北海道タラのベーコン巻きローストのデュエット 旬の野菜を一緒に!!
・京人参とオレンジのムース練乳のアイスを添え リンゴのシガレットと共に
・コーヒー