2020/7/10

ロイヤルパークホテル

TOKYO HOTELS & RESTAURANTSINTO THE FUTURE

安産・子授けで有名な「水天宮」の隣。日本橋の雰囲気に溶け込むロイヤルパークホテルは今年6月に開業から31年目を迎える。和洋中それぞれのレストランで提供されるのはクオリティの高いこだわりの料理。1000平方メートルを誇る大宴会場も有し、各界のVIPが集う宴会も数多く手がける。このホテルから、現在全国に40名を超える料理長が生まれていることも特筆すべき点だ。
「職人からプロフェッショナルへ」。時代を冷静に、世代の違いを温かく見つめる松山昌樹総料理長にこれからの組織のあり方のヒントを聞く。

ロイヤルパークホテル
ロイヤルパークホテル
総料理長 松山 昌樹
総料理長 松山 昌樹

総料理長 松山 昌樹 Masaki Matsuyama
東京都出身。大阪あべの辻調理師専門学校を経て、1988年ロイヤルパークホテル入社。2001年には在米国日本国大使公邸の料理長に、2008年には三菱開東閣の料理長に就任。2014年ロイヤルパークホテルの調理部長へ。2019年4月に総料理長となり、現在に至る。

気持ちを込めた料理を作る

「VIPの方々向けの宴席料理も、レストランでのサンドウィッチも同じ」。常にゲストのことを想いながら作る姿勢が、ロイヤルパークホテルの料理の強みだと、松山昌樹総料理長は話す。若手スタッフが作ることのできる料理は限られているが、毎日作っているサンドウィッチでも食べる人を感動させることはできるのだと。また「ひと昔前は料理人は職人であることが求められましたが、これからはさらにプロフェッショナルでなければならない」と続ける。安心・安全も考慮し、ゲストに寄り添っていく必要がある。

総料理長に就任して約1年「自分のスタイルが伝わっていく」ことを自覚しているからこそ、こまめに、親身になってコミュニケーションを取ることを心がける。企業説明会にはコックコートを着て求人活動をし、調理部の雰囲気を知ってもらおうと努める。「有給休暇が何日あるかではなく、実際はどれくらい取れているのか。100%現実を伝えたい」と、リアルな現場の話をするのだと言う。この4月には、多くの新入社員の入社が決まっている。

サービス残業はできない、しかし技術は磨きたいという若手のために、時間内にどうにか経験を積んでもらいたいと新たな研修制度も作った。何年か働いて結婚や出産をしてもその後、職場復帰しやすいようにとも心を砕く。「女性の活躍の場を広げると、次の人も戻りやすい。そういった環境を整えていくことが大切です」。調理部長時代から続く、スタッフが気持ちよく働ける職場への想いは、今も変わらない。

さまざまな個性が骨太の組織を作る

今も包丁を握ると落ち着くという松山総料理長。パイロットやF1レーサーに憧れた少年が、一生をかけてやりたい仕事は料理人だと決意したのは高校時代だった。「そう言えば幼い頃、料理天国などのテレビ番組を見て、自分で作ってみたい。と興味を持っていた事も思い出しました」。入社してからは、いつも負けたくないという気持ちが強くて、他人と比べてしまう時期もあった。しかし「比べるべきは過去の自分だと気づきました。1週間前、1カ月前から自分がどう成長したかが重要なんです」。

アメリカの日本国大使公邸で6年間料理長を務めたが、すべて自分でやらなければならない経験をして、仲間のありがたみを身に染みて知った。「それまでは、できなければ自分がやるから手を出すな。というスタンスだったから、帰国すると聞いてみんなが緊張したらしい」と笑う。総料理長は判断力、決断力、管理力だけではなく「人間力」も必要だと、日頃から部門の垣根を越えて、そして若手スタッフともコミュニケーションを取ることを忘れない。初代の総料理長である嶋村光夫氏の「総料理長はオーケストラの指揮者だ」という言葉を挙げ「それぞれのプロフェッショナルがいるチームの力を集結させ、最大限に発揮できるような組織の体制を常に心がけています。」

育成について尋ねると「区別すること」と答える。料理長になりたい人も、料理を作りたいだけの人もいる。入社後にコミュニケーションを密に取り、個々の資質を見定め、それぞれの目標を尊重する。「さまざまなタイプがいるからこそ、骨太で魅力のある組織ができる」と信じる。そして「楽しく仕事をしてもらいたい。その上で大変さ、きつさ、苦しさも知らないと、料理の楽しさは味わえない」と話す。毎日当たり前のように繰り返す仕事でも、興味と向上心を持ちながら取り組む姿勢で研鑽を重ねていく事の大切さが、このホテルのスタッフに意識づけられている。

ロイヤルパークホテル
東京都中央区日本橋蛎殻町2-1-1
TEL:03-3667-1111
URL:https://www.rph.co.jp


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